
中小企業診断士・行政書士益田 亮
new トップページをリニューアルしました
標準料金表を以下のページに移動しました
中小企業・小規模事業者・起業者の方向け支援
個人の方向け支援
中小企業診断士 経済産業大臣登録 第414771号
(一社)大阪府中小企業診断士協会会員
経営革新等支援機関(認定支援機関ID:109827000110)
行政書士 登録番号 第25265700号
大阪府行政書士会会員番号 第009352号
大阪出入国在留管理局届出済申請取次行政書士
公益社団法人コスモス成年後見サポートセンター会員
相続
■ はじめに
人が亡くなると、相続が開始されます(民法第882条)。[政府広報]
もしも法的に有効な遺言が存在していて、遺言内で遺言執行者が指定されている場合、相続に関する手続は、原則として遺言執行者の指示により進められます。そうでない場合は、相続人全員の合意に基づき、相続人自身で、あるいは専門家に支援を依頼しつつ、相続手続きを進めなければなりません。
■ 相続人調査
相続手続きを進めるにあたって、まず法定相続人が誰々なのかを確定しなければなりません。
必ずしなければならないこととして、故人(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの連続したすべての戸籍資料(戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本)、住民票除票(最後の住所)を入手します。
-
戸籍広域交付制度 ★2024年~ 法務省[戸籍法の一部を改正する法律について]
-
本籍地以外の市区町村で、戸籍資料を請求することができるようになりました。
-
この制度ができるまでは、相続人調査のための戸籍資料集めは、故人の最後の本籍地からスタートして、本籍地が移る度に遡って過去の本籍地だった市区町村の戸籍資料を請求する必要がありました。遠隔地から本籍地が移ってきていた場合、現地出張や郵送の手配等、かなりの時間とコストを要する場合がありました。
-
この制度によって、相続人調査の負荷は大幅に削減されました。ただし、以下の制約があります。
-
本人、配偶者、直系尊属(父母/祖父母)、直系卑属(子/孫)が利用できますが兄弟姉妹は利用できません。
-
行政書士等の専門家による代理請求(委任状や業務上請求書による)もできません。
-
-
「出生から死亡まで」の一連の戸籍資料を請求することもできます。[大阪市の例]
-
親族関係が複雑な場合は、更に追加で戸籍資料を請求する必要があるかも知れません。
戸籍資料が複雑・難解で読解が難しいと感じる場合は、行政書士等の専門家に支援を依頼しましょう。
戸籍資料により法定相続人が確定したら、この後の諸手続のために、相続人全員の戸籍謄本も取得しておきます。
判明した法定相続人をわかりやすい図にします。
-
相続関係説明図
-
法定の文書ではなく厳格な書式指定もありませんが、関係先に相続関係を説明する際、戸籍資料の束だけではわかりにくいので、作成しておくと便利です。
-
次の法定相続情報一覧図と内容的に差がない場合、法定相続情報一覧図を関係先に提示すれば、相続関係説明図はなくても不都合はありません。
-
故人(被相続人)と、法定相続人全員の続柄を図示します。
-
被相続人の情報(氏名、最後の住所、最後の本籍、出生年月日、死亡年月日)
-
法定相続人全員の情報(氏名、住所、出生年月日、続柄)
-
被相続人の配偶者は存命であれば当然法定相続人ですが、既に死亡している場合でも相続人の続柄を説明するために記載することが多いようです。
-
書式例は次の法定相続情報一覧図の書式例を参考にして下さい。
-
-
-
法定相続情報一覧図 ★2017年~ 法務局[法定相続情報証明制度について] [書式例]
-
記載内容は、相続関係説明図とほとんど同じです。相続関係説明図は任意に作成した説明資料ですが、法定相続情報一覧図は、作成した図を戸籍資料と共に最寄りの法務局に持込み、戸籍資料と一致していることを認証してもらうものです。
-
認証された法定相続情報は電子データとして保管されます。必要な通数を申請すれば、法務局の認証文付きの写しが無料で交付されます。
-
相続の諸手続の関係先に認証文付き法定相続情報一覧図を提出することで、戸籍資料の束を持って回る必要がなくなり、関係先が複数ある場合等、手続が効率的に行えます。また、不動産等の相続登記を行う際も、法定相続情報番号を記載するだけで、法定相続情報の書面添付が省略できます。
-
相続開始時点で被相続人の配偶者が死亡していた場合、死亡していた配偶者は相続人ではないので法定相続情報一覧図には記載できません。この点が、相続関係説明図との違いです。
-
■ 相続財産調査 附:債務の調査
相続の対象となる財産を調査します。
-
預貯金・有価証券・生命保険等
-
被相続人の遺品から通帳・証券・郵便物・メール等電子データを調べて、手掛かりとなるものを収集します。現物以外に、本人名義の別口座や外部との入出金記録があれば、それらの情報も手掛かりとなります。
-
手掛かりのあった相手先に、口座の有無や死亡時の残高を照会します。問い合わせる方法や必要書類等の要件は相手先によって異なります。
-
手掛かりがないが、どこかに口座があるはずだと強く推測される場合に、主要銀行や地元の金融機関等、可能性のありそうなところに照会をかけることもあります。
-
株式を保有しているはずだが口座のある証券会社がわからない場合、[証券保管振替機構]に開示請求するとわかることがあります。法定相続人、その法定代理人・任意代理人、遺言執行者が請求可能です。
-
-
不動産
-
固定資産税納税通知書
毎年市町村から送られてくる固定資産税納税通知書を参照するのが最も簡便です。ただし、非課税の不動産や共有の不動産、他地域の不動産を所有していた場合等、漏れる可能性があります。 -
固定資産課税台帳(名寄帳)
被相続人が市町村内に所有していた不動産の一覧を確認することができます。
相続人・代理人の請求が可能です。
[吹田市の例] -
所有不動産記録証明制度 ★2026年~ 法務省[所有不動産記録証明制度について]
広い範囲に所有不動産が散在している可能性がある場合、名寄帳でも把握しきれないことがあります。これは氏名と住所をキーに、全国の所有不動産を検索して交付してくれるものです。被相続人が生前に転居をしていた場合、漏れがないようにするには、その住所ごとに申請する必要があります。
相続人・代理人の請求が可能です。
-
-
債務
-
CIC(CREDIT INFORMATION CENTER)
クレジット・携帯端末分割払等が中心。
法定相続人・その任意代理人(行政書士等の専門家含む)・法定代理人が請求可能。 -
JICC(日本信用情報機構)
消費者金融・カードローン等が中心。
法定相続人・その代理人(弁護士・認定司法書士に限る)が請求可能。 -
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
全銀協が運営。銀行、信用金庫等。
法定相続人・その代理人(弁護士・司法書士・行政書士等)が請求可能。 -
個人間の借金やいわゆる闇金的なものは上記では捕捉できません。その痕跡や兆候があった場合は、無視することなく早期に事態を把握して対策する必要があります。
-
調査した財産を一覧にまとめます。法的義務はありませんが、遺産分割協議をする時や、登記・納税等の手続にあたって、相続人間の意思疎通や書類作成の元資料として有用です。
-
財産目録 [裁判所書式例](必ずしも相続財産用ではありません)
-
財産目録は、相続手続のために任意に作成する書類なので、定まった形式はありません。
-
裁判所の書式例では、不動産には価額を記入する欄がありませんが、使用する場面によって評価額が明示されていると使いやすいこともあります。一般に不動産の評価額としてよく用いられるのは:
-
土地:路線価×面積×補正率(土地形状による)または 固定資産税評価額×倍率
国税庁 [路線価図・評価倍率表] -
建物:固定資産税評価額
-
-
故人がつつましく生活していて、大きな財産も負債も特にはないことが自明と思われる場合、手間とコストをかけて徹底的な財産調査をするのは如何なものかと思われると思います。実際、私が亡父の相続手続を行った時、目に映る範囲にあった通帳3通について老母への払出を手配した以外、何もしませんでした。
もっとも、調査が足りないと、埋もれてしまう資産があるかも知れません。万一財産より大きな負債があった場合等に、相続放棄等の対策をとる機会を逸するリスクもあります。そのあたりの意思決定は、結局は相続人ご自身の判断によるしかありません。そうした、進め方についてのお悩みの相談相手にもなります。
■ 遺産分割協議
相続人全員で財産のどの部分を誰が受け取るのか、協議し合意し決定します。ただし、次の場合は、協議は行われません。
-
遺言で財産の帰属がすべて決められている場合
ただし法定相続人全員の合意があれば遺言と異なる遺産分割を行うことが可能です -
遺言で一定の期間(上限5年)遺産分割が禁じられている場合
-
相続人が事実上1人しかいない(他の相続人が家庭裁判所に申立て相続放棄済の場合も含む)
-
-
厳格な書式の規定はありません。被相続人に関する情報、相続人全員により遺産分割協議を行った事実、どの財産を誰が受け取るかのかを列挙、相続人全員の住所・署名・実印(印鑑証明要)が並ぶのが普通です。
-
書式の規定がないとは言え、預金の払出や相続登記等、相続手続の実行時には、これを関係先に提示するので、財産が一意に識別できるように記載されていなければなりません。
-
預貯金:金融機関名、支店名、口座種別、口座番号
-
有価証券:会社名、記号・番号、株式数等
-
不動産:登記事項全部事項証明書に記載されている事項
-
債権:債務者、契約日、弁済期、元金、利息、遅延金等
-
自動車:登録番号、車台番号、車名・形式
-
債務:遺産分割の対象ではなく法定相続分に応じて相続人が負う(変更は債権者の承諾が必要)
-
-
遺産分割協議証明書
-
内容は遺産分割協議書と同じです。
-
遺産分割協議書は1つの原本に相続人全員が署名捺印しますが、遺産分割協議証明書は、相続人の人数分の書面に相続人1人ずつ署名捺印し、それらを集めて使用します。
-
相続人が遠隔地に分散する等して、全員の署名捺印を集めるのが難しい時等に利用されます。
-
■ 諸手続の実行
どの手続にも、基本的には戸籍情報(法定相続情報一覧図で可)と遺産分割協議書(遺産分割協議証明書も可)が必要となります。
-
預貯金の払戻等
-
手順や必要書類等の具体的な手続は、金融機関等によって千差万別ですので、あらかじめ電話等で確認してから店舗等を訪問します。
-
-
不動産
-
法務局で相続登記(相続による所有権移転登記)を行います。
法務局 [登記手続ハンドブック]
[不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)]
[登記・供託オンライン申請システム] -
相続登記義務化 ★2024年~
相続を知った時から3年以内に相続登記の申請を行わないと10万円以下の過料を科せられる可能性があります。
住所等変更登記義務化・スマート変更登記 ★2026年~ 法務省 [スマート変更登記のご利用方法]
また引っ越しや結婚等で登記名義人の住所・氏名に変更があった場合2年以内に変更登記しないと違反となり5万円以下の過料を科せられる可能性があります。スマート変更登記の申請をしておくと法務局の側で変更を検知して変更登記の手続をしてくれるので、違反状態になる心配がありません。相続登記時にあわせて申請しておくとよいでしょう。 -
相続登記は法務局から懇切丁寧な案内が出ているので、自力でチャレンジすることもできますが、ミスをして差し戻されることも少なくないので、苦手な人や忙しい人は、司法書士に依頼すると安心と思います。
-
-
相続税
-
相続財産の総計が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を上回ると、相続税の申告が必要となります。
国税庁 [相続税の税率] -
ただし、相続税に関しては細かな規定が無数にあり、なかなか簡単に計算することができません。特に、相続財産に住居が含まれていたり、事業承継を伴うような場合は、極めて複雑になりますので、税理士の助言を受けることを強くお勧めします。
-
■ まとめに代えて
繰り返しになりますが、不幸にして親族間の争いごとや利害の衝突が懸念される事態になったら、迷わず信頼できそうな弁護士を探しましょう。
そうでない場合、相続人の一人として、あなたが十分元気で、実務能力にある程度の自信があって、多少の時間を費やすことができそうなら、自ら主体的に相続に取り組むのもよいかも知れません。そのプロセスの中で、不安なことや、助言がほしい課題や、相談に乗ってほしいことがあれば、専門家の支援を併用するとよいでしょう。全般的なことについては行政書士が使い勝手がよいと思います。不動産の相続がメインになるようでしたら、土地家屋調査士や司法書士が頼りになるでしょう。相続税が絡むようなら税理士のチェックとアドバイスを受けましょう。
自分で仕切るのはちょっと荷が重いなということであれば、相続のプロセス全般を行政書士等に依頼して、他の専門家とのインタフェースも任せるという選択肢もあります。
ほとんどの人にとって、相続は一生のうちでそう何度もあるイベントではないので、不安なことも多いでしょうが、ちゃんと話を聞いてくれる専門家を見つけると、精神的にも物理的にも楽になるのではないかと思う次第です。